ライナーノーツ:友浦鉄道

まずはこちら
個人的に、欧米のプッシュプル客車編成が好みだ。
特に、テールライトを点けて走り去るというシチュエーションが良い。
ローカル私鉄では、さすがにヨーロッパでも電車か一般的な客車列車だ。
しかし、イタリアには、ローカル私鉄のプッシュプル客車列車がある。
イタリアのトスカーナ鉄道がそれだ。
それが着想の原点。

これを日本的にやってみたかった。
そこで、日本らしく(?)凸電と客車、元ガソリンカーで揃えた次第。


赤帯の冷蔵車は、実は間違って帯を描いてしまってから、線内専用貨車との言い訳を用意した。
国鉄の事故復旧車というのは、さらに後になって思い付いたアイデアだ。
些末な偶然が、当初思いもよらぬ設定を生み出してしまった。


友浦鉄道には、実は別のテーマがある。
それは架空鉄道界隈のデータ主義への疑問だ。

鉄道ファンには数字やデータの羅列が好きな人が多い。そのせいか架空鉄道界隈でも、全駅の設定や営業距離やダイヤ、車両のスペックや経歴、詳細な歴史沿線など、データ満載を志向する作者が多いように思える。

しかし、細部に至るまで設定し尽くし、あらゆるデータが揃っているのは、現実味があるだろうか?

私鉄車両の記事で、特に古い時代に書かれたものだと前歴不明という記述がときたま見られる。
細部まで不明な点がなく細々したデータまで公表されている……わけではない場面が、実際あるにはある。

――――何が言いたいのかと言うと、あまりにも隅々までデータが揃っていると、かえって"作り物臭"がしてしまうということだ。


架空鉄道界隈のデータ主義への疑問から、友浦鉄道では具体的な数値を意識的に避け、また全車両を前歴不明とする設定を故意に用意した。
車両番号すら記述しない記事というのも現実味はないが、データ満載主義でも小説等心"情"系でもないやり口は示せたのではないかと思う。


友浦鉄道のページの文章や構成は、「架空鉄道のサイト」ではなく、鉄道雑誌の私鉄訪問系の記事をイメージした。
データを項目別にまとめるのではなく、キャプションを読めば全貌が掴めるように心掛けた。これもデータ主義とは異なるアプローチだ。

また、電気機関車の略称を「電機」ではなく、年配の鉄道ファンが使う言い回しの「電関」としたのは、記事の雰囲気をちょっと昭和風にしてみたかったからだ。
「吝嗇」や「斯様に」というやや昔がかった言い回しを使ったのも、同じ理由である。

データの中身だけでなく、データの表現し方も架空鉄道の工夫のしどころだ。



  • 最終更新:2015-06-07 09:21:25

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